米ヤフー、ネット先駆者が「退場」 | スマホ・SNS対応に乗り遅れが原因か
米ヤフーがインターネット広告などの中核事業を米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズに売却し、ネット事業からの撤退を決めました。
米ヤフーはネット業界の先駆的存在で、その後一時代を築いたヤフーですが、売却後は投資会社のような存在となります。
グーグルやフェイスブックなど競合がひしめきあう中で経営改革が遅れ、市場から「レッドカード(退場)」に追い込まれた格好です。
ヤフーは1994年、スタンフォード大の大学院生だったジェリー・ヤン氏と、デビッド・ファイロ氏が創業しました。
サービスのきっかけは、二人がウェブサイトのリストをつくったのが始まりです。
ヤフーは90年代後半、ポータル(玄関)サイトとして注目を集めました。
ネット検索、Eメール、通販、ニュース閲覧などの幅広いサービスを普及させました。
検索エンジンの世界シェアは最盛期は4割を超えていました。
当時は、急拡大するネットサービスの象徴だったヤフーと提携しただけで相手企業の株価が急騰する状態が続いていました。
ヤフー自身、2000年のIT(情報技術)バブル時には時価総額が13兆円を超えました。
しかしその頃、グーグルの検索エンジンの利用が急激に増え始めました。
それに伴いネット広告がグーグルに流れ、後になってyahooが何度か買収も試みました。
時は既に遅し、埋められない程の技術差が両社でついていました。
グーグルが勢いを増しているころ、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も頭角をあらわしてきました。
利用者がSNSを利用する流れに変わっていきました。
デジタル広告とメディアの2つの中核事業でヤフーは中途半端な存在になり、徐々に競争力を失っていきました。
ヤフーはパソコンからスマートフォン(スマホ)など携帯端末への移行に乗り遅れたことも衰退の流れに拍車をかけました。
製品サイクルが極度に短い消費者向けITの世界では、新興勢を早い段階で買収するか、自ら競合サービスに果敢に乗り出さなければ支配的な立場が脅かされる恐れがあります。
ヤフーはポータルを通じてあらゆるネットサービスを提供する巨大企業となったことが、かえって新興勢に対する危機意識の薄さを招きました。